開発者でなくてもわかるLINE Messaging APIの仕組み
LINE Messaging API2023/5/9
LINEは、ビジネス用途でも広く活用されています。その活用の幅を広げるために役立つのがLINEから提供されている「Messaging API」です。この記事でMessaging APIの概要・仕組みについて解説し、これを使うことでできるようになること、具体的な活用方法などを紹介していきます。これからLINEを使って顧客とより実のあるコミュニケーションを取っていきたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
1. LINE Messaging APIとは

Messaging APIは、APIの1種です。そもそも「API」とは「Application Programming Interface(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)」の略であり、異なるソフトウェア、サービスなどをつなぐための仕組みそのものを指します。ユーザー視点でその存在を認識することはあまりありませんが、実際にはLINEに限らずさまざまな場面でAPIは活用されています。
たとえば、あるサイトへログインする際、Googleのアカウントが使えるのを見たこともあるのではないでしょうか。これはAPI活用の一例であり、GoogleのAPIによりログイン情報を認証できるようにしているのです。ネットショッピングでも、決済代行サービスのAPIにより決済情報のやり取りが行われていることが多いです。
APIの仕組み
APIのプロセスは「リクエスト」と「レスポンス」から構成されるのが基本です。
リクエストは“要求”を意味し、API利用者であるユーザーが行う行為を指します。これに対しレスポンスは“応答”を意味し、API提供元が行う行為を指します。リクエストおよびレスポンスの関係性・ルールの詳細は、APIの提供者が設計し、どのようなリクエストが来たときにどのようなレスポンスを返すのかを考えてAPIを実装していくのです。
そのため同じ“API”という枠組みに分類されていたとしても、その具体的機能はものによってさまざまです。APIの利用者も、欲しい機能をAPIにより備えることで逐一開発を行う必要はありません。
LINE Messaging APIの概要
LINE社が開発・提供する「Messaging API」は、LINEの公式アカウントを持っていれば自由に利用でき、ユーザーとのコミュニケーションの幅をより広げるために役立ちます。LINEを使ってユーザーとのコミュニケーションを図りたい各企業としては、このAPIを使うことで、「レスポンス率の向上」「ユーザーとの対話の効率化」というメリットが得られます。送信するメッセージをユーザーの性質に合わせてカスタマイズすることができますし、すべてのやり取りに対してオペレーターが応答する必要もなくなります。
2. LINE Messaging APIでできること

LINEのMessaging APIでできることは多岐にわたります。ユーザー情報を取得したりメッセージを自動で送信したり、高度な設定からアカウント連携までさまざまなことが実現できます。
また、MessagingAPIには大きく2つの用途があります。
・ユーザーからのアクションをwebhook経由で受け取る
・ユーザーに対してアクションを送信する
webhookはユーザープロフィール取得とメッセージの自動応答に用いられる機能を指し、
アクションの送信はメッセージ送信を意味します。
ユーザープロフィールの取得
Messaging APIを使って、ユーザープロフィールを取得することができます。厳密には、自社の公式アカウントを友だちとして登録してくれたユーザーを対象に、①ユーザー名②プロフィール画像③ステータスメッセージの取得が可能となります。
メッセージの自動応答
自社の公式アカウントにメッセージを送ってきたユーザーに対し、自動で応答することも可能です。自動応答ができるようにしておくことで、簡単なやり取りに関してはオペレーターが直接対応する必要がなくなり、業務効率の向上が期待できます。ユーザーとしても営業時間に限定されず簡単なコミュニケーションなら取れるようになります。
任意のタイミングでのメッセージ送信
企業側から、任意のタイミングでメッセージを送ることもできます。「プッシュメッセージ」と呼ばれる機能で、ユーザーへの一方的な送信を意味します。
Messaging APIにある「プッシュメッセージを送る」を使うことで機能させることができ、これまで1度もユーザーとコミュニケーションを取っていない場合でも、個別にLINEを使ったお知らせなどができるようになります。また、登録してくれたユーザー別に細かく設定した配信も可能です。
さまざまなタイプでのメッセージ送信
メッセージの送信内容をカスタマイズすることができます。たとえば、文字情報を送信する「テキストメッセージ」やイラストを使った「スタンプメッセージ」、画像や動画、音声を送信する「画像メッセージ」「動画メッセージ」「音声メッセージ」、現在位置や特定の場所を送信する「位置情報メッセージ」などは一般ユーザーもよく利用する基本的な機能です。
これらに加え、「イメージマップメッセージ」や「テンプレートメッセージ」、「Flex Message」というものもMessaging APIにより使えるようになります。
イメージマップメッセージとは
画像にタップ領域を複数設定したメッセージのことです。ユーザーは、その設定された領域をタップすることで特定のWebサイトに遷移することができたり、メッセージを送ったりすることもできるようになります。他にも細かなカスタマイズができます。動画を再生させることや、その動画視聴後にリンクを載せたラベルの表示をさせるといった動作を行わせることも可能です。
テンプレートメッセージとは
あらかじめ定義されたレイアウトを使ったメッセージのことです。たとえば「確認テンプレート」を使うことで”Yes”と”No”のアクションボタンを表示させ、ユーザーへの確認を簡単に取ることができるようになります。ユーザー自身に文字を打って回答をするなどの手間がかからないため、回答率の向上が期待できます。他にも画像と複数のアクションボタンを組み合わせた「ボタンテンプレート」、横スクロールでさまざまな画像などを列挙できる「カルーセルテンプレート」などがあります。いずれも上手く活用すればリッチなユーザー体験を提供できるようになるでしょう。
Flex Messageとは
CSSというプログラミング言語を活用してカスタマイズできるメッセージのことです。具体的には「CSS Flexible Box(CSS Flexbox)」の知識を使うことになります。これによりメッセージのレイアウトをより自由な形に設計できます。
リッチメニューの高度な編集
トーク画面にメニューを表示させ、メッセージのやり取りだけでなく多様なアクションを起こさせることもできるようになります。この機能は「リッチメニュー」と呼ばれ、LINE公式アカウントで使えるようになる機能です。
Messaging APIを使用しなくてもリッチメニューの設置自体はできるのですが、Messaging APIを使えばより細かなカスタマイズができるようになります。
アカウント連携
ユーザーのLINEアカウントと自社サービス上でのユーザーのアカウントを連携させることもできます。
たとえば、LINE上でのユーザーのアクションを自社ECサイト上に反映させて受注処理を行ったり、逆に自社ECサイト上でのアクションをLINEに反映させて商品購入情報を送信したりといったこともできるようになります。
3. LINE Messaging APIの利用料金

Messaging APIは、基本的に無料で使用できます。ただし毎月送ることのできるメッセージ数には限りがあり、送りたいメッセージ数に応じて3つのプランが用意されています。
フリープラン | ライトプラン | スタンダードプラン | |
月額費用 | ― | 5,000円 | 15,000円 |
メッセージ数 | 1000通 | 15000通 | 45000通 |
追加メッセージの費用 | 不可 | 5円 | ~3円※追加配信の数が多いほど単価が小さくなる |
4. LINE Messaging APIの活用事例

Messaging APIを活用したメッセージのパーソナライズはよくある活用事例で、顧客離れを起こさないためにも重要な施策になります。
LINEを使えばユーザーと簡単に接点を持つことができますが、単に一方的なメッセージ送信をするだけで大きな効果が得られるわけではありません。そこでMessaging APIを活用してユーザー属性や、志向に合ったメッセージを送信できるようにしておくとよいでしょう。その際、自社が持つ顧客や商品のデータと連携させればより各ユーザーに適合させることができます。
また、ユーザーが自社サービス上で会員登録を行う際に自動で友だち追加ができるようにしておけば、その後、継続的なコミュニケーションが取りやすくなります。自社の提供するサービスや商品に関心のあるユーザーから友だちを増やすことができ、メッセージ送信の効果を高められるからです。
このように、LINEでできることはたくさんありますが、ポイントとなるのはユーザーとのコミュニケーションの質を上げることであり、その観点からさまざまな形でMessaging APIは活用されているのです。
【参照元】
https://www.sbbit.jp/article/cont1/62752
https://developers.line.biz/ja/docs/messaging-api/overview/#what-you-can-do
https://developers.line.biz/ja/docs/messaging-api/overview/#line-official-account-plan
https://solutions.dac.co.jp/blog/line-massaging-api-overview
インキュデータ株式会社

- コラム編集チーム
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