個人間でメッセージのやり取りをするだけでなく、ビジネスにもLINEは使われています。LINEを使えば顧客との接点を持つことができますし、顧客と近い距離間でコミュニケーションを取ることができるようになります。 また、顧客とのつながりを最適化し、より売上向上などに役立てる上ではCRMの導入も有効です。LINEもCRMとして活用が可能で、この記事でその手法について解説をしていきます。
1. LINEのCRM活用とは

新規顧客の獲得ももちろん重要なことですが、既存顧客のリピート率を高め、顧客生涯価値を高めることも大切です。
顧客生涯価値を高める上では、適切な顧客管理ができる体制も作っておく必要があります。その観点からはCRMの導入が効果的で、多数の顧客を抱える企業でもCRMを活用することで費用対効果の高いアプローチをかけられるようになります。
ただ、CRMツールにもさまざまな製品があり、導入に際しては自社に合ったものを選定する必要があります。
ここで提案したいのが「LINEをCRMとして活用する」ということです。LINEなら導入ハードルが低いことや双方向のコミュニケーションが取れること、そのほかさまざまな利点があります。
CRMについて
そもそもCRMとは「Customer Relationship Management」の略です。「顧客関係管理」とも呼ばれています。
顧客関係管理そのものというよりこれを実現するためのツールを指して呼ばれることが多いです。
CRMの導入で、一般的には①顧客満足度の向上、②業務効率の向上、③新規顧客の開拓などの恩恵が得られるとされています。
過去の顧客との応対履歴はCRMにて管理され、そのデータは社内で容易に共有することができるようになりますし、その結果顧客対応の品質が維持されやすくなります。
また顧客情報の共有が円滑になれば見積りや契約、請求などの各種業務効率が上がるでしょう。
近年は顧客1人あたりの情報量が増えていますし、営業担当者だけでなく、全社的な取り組みとしてCRM導入の重要性が説かれるようになっています。
LINEをCRMとして活用するメリット

LINEは国内外問わず、通信キャリアも問わず利用することができます。チャットのみならず通話やそのほかさまざまなコミュニケーションがLINEで可能となります。
それも無料で利用ができるため、特徴として「ユーザー数の多さ」を挙げることができます。2020年の時点で国内月間利用者数は8,000万人を超え、日本人口の7割近くが利用しています。また、単にユーザーとして登録している人数が多いだけでなく、アクティブ率も85%と高く、生活インフラとしてLINEが馴染んでいると説明することもできます。TwitterやInstagramなど、ほかのSNSは使っていないもののLINEは使っているという方も多いようです。
このアクティブ率の高さは企業がメッセージを送った際の開封率の高さにつながります。
LINEを使ってアプローチをかければメッセージ送信後すぐに確認してもらいやすく、LINE社の調査によれば8割ほどのユーザーがその日のうちに開封するということがわかっています。
また、メッセージなどのアプローチを受け、その後ユーザーが反応する割合も高いといわれています。企業のアカウントと“友だち”になったユーザーのうち、6割近くは送信されたクーポンを利用したりキャンペーンに応募したりしています。ユーザーの過半数はURLをクリックしてWebサイトにアクセスしていますし、送信した情報から動画を視聴したり商品を購入したりするユーザーも相当数いるということがわかっています。
LINEをCRMとして活用すればこういった特性を活かすことができるでしょう。日常的に使用して使い慣れているアプリですので、顧客としてもアクションを起こす心理的ハードルが低いといえます。
さらに、双方向でのコミュニケーションができるのもLINEをCRMとして活用するメリットです。一方的に情報を顧客に送るだけでなく、問い合わせに応じることもできるようになります。簡単な対応であればチャットボットで省力化もできます。
2. LINEをCRMとして活用する方法
LINEをCRMとして活用する方法には①LINE公式の管理画面に搭載されている機能を使う、②外部ツールを使う、の大きく2つがあります。
それぞれ次項で説明していきます。
LINE公式の管理画面に搭載されている機能を使う
LINEだけを使っても、管理画面からは顧客別に最適化したメッセージ配信ができます。
ユーザーの属性、たとえば「住んでいる地域」「年齢」「性別」などの情報に応じて配信内容を分けることもできますし、「過去の購入履歴」に応じた配信もできます。
こうした属性別に分けたひとまとまりは“セグメント”と呼ばれ、セグメントで絞り込みをしてメッセージを送ることは“セグメント配信”と呼ばれます。
LINEを使うだけでも大きな効果が期待できますが、CRM専用のツールではないため本格的な顧客関係管理を目指す場合には次に説明する外部ツールの利用も検討する必要があるでしょう。
外部ツールを使う
導入する外部ツールによって具体的にできることは異なりますが、「LINE IDと自社会員情報の紐付け」「顧客情報の分析」などを行うことで、より高度なアプローチがかけられるようになるでしょう。
顧客の名前や住所などの基本情報に加え、過去の問い合わせ内容、購入履歴、自社LINEアカウントを友だち追加した経路、LINE上での予約数、配布したクーポン別の開封数や利用数など、広範なデータを分析し、精度の高いマーケティングができるようになります。
顧客のニーズとのずれを最小限にとどめたダイレクトな売り込みができ、無駄な配信・ネガティブなアクションを引き起こす配信も避けやすくなるでしょう。
また顧客サポートの機能により、どのサービス・商品に対する問い合わせがあったのか、どのようなクレームがあったのかを管理し、原因究明をスピーディにできるようになることも期待できます。
導入するツールによって具体的に実現されることは異なりますので、自社が求める機能は何か、コストはどれほどか、といったことを考慮して選定していくといいでしょう。
3. LINEのおすすめCRMツール
最後に、LINEおすすめのCRMツールをいくつか紹介していきます。LINEに関係のない多様な機能も備えるCRMツールもあれば、LINEに特化したCRMツールもあります。
LINE連携可能な一般的なCRMツール
LINEとの連携もできるCRMツールとして、「Synergy!」が挙げられます。
集客や顧客情報の一元化、クロスチャネルメッセージング、顧客情報の分析など、CRMに求められる機能を備えています。
フォームやアンケートを使ったデータ収集、LINE外から集めたデータも活用してLINEでの配信に活かすこともできます。当然、LINE以外の手段、メールや広告、Webを使って顧客にアプローチをかけることもできます。
その他に「Customer Rings」というツールもあります。
CRMのみならずMAツールとしても使えるマーケティングプラットフォームです。「ITreview Best Software in Japan 2022」では5,000を超えるツールの中から優れた製品として選ばれており、高い満足度、実績を持つツールといえます。連携サービスも豊富で、LINEとつなげて顧客関係管理の質を向上させることができるでしょう。
LINEに特化したCRMツール
LINEに特化したCRMツールには次のようなものがあります。
- Liny
3500社以上の導入実績を持つマーケティングサポートツール。MA(マーケティングオートメーション)に必要な機能も備え、その他セキュリティ水準の高さ、運用サポートの面などに強みを持つ。
- Lステップ
細かな配信設定ができるなど、LINE公式アカウントだけでは不十分な部分をカバーしてくれるツール。細かくセグメント配信ができることで、登録者数の多いアカウントであっても、一人ひとりに最適化した情報配信によりブロック率の低下が期待できる。
- KUZEN-LINK
AIチャットボットサービス。ユーザー行動の分析により顧客に合わせた情報送信ができる。その他外部システムとの連携なども含め、多彩な機能が搭載されている。
- Mico Cloud
LINEから得た顧客情報・行動履歴によりユーザーの趣味嗜好を可視化できる。その他アンケートやタグ分析などによる顧客ニーズの把握にも効果を発揮する。また、専任チームによるコンサルサポートも受けられる。
- LIBERO
サポート体制に強みを持つ。LINE公式アカウントの開設から配信企画設計まで幅広くサポートが受けられる。そのためLINE活用に自信がない方におすすめ。
選定にあたっては、配信のカスタマイズ性の高さ、導入実績やUIの扱いやすさ、LINE以外との連携、初期費用およびランニングコスト、サポート体制などにも着目するといいでしょう。
参考URL
https://www.linebiz.com/jp/column/technique/20180426-02/
https://saas.imitsu.jp/cate-crm/article/l-1525
おわりに
インキュデータ株式会社ではLINE ID収集を促進するソーシャルログインサービス「Loghy」の提供や、LINE運用支援/コンサルティング事業を展開しております。
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