Cookieレスはいつから?マーケターが知っておくべき対応ソリューション
1stパーティデータCOOKIE2022/8/16
Cookieは、デジタルマーケティングを行ううえで、とても重要な役割を担っていました。しかし現在、サードパーティCookieの規制や廃止が相次いでいます。Cookieレス時代は、もう間近に迫っているのです。マーケターは、Cookieレス時代に対応できる、新たなソリューションを活用する必要があります。そこでこの記事では、実際にCookieレス時代はいつから始まるのか、またマーケターが知っておく、新たなソリューションについて解説します。
マーケティングにおけるCookieの役割
Cookieはデジタルマーケティングにとって、重要な役割を持つ技術です。このCookieはどのような技術で、これまでどのような使われ方をしてきたのでしょうか。
Cookieの仕組み
Cookieは、ウェブブラウザに蓄積されるデータで、ユーザーがどのように行動したかなどの情報を記録できます。
たとえば、ユーザーが閲覧したウェブサイトや、ウェブサイト内で閲覧したページなどのほか、ログインの有無や、メールアドレスといった個人情報も含まれます。Cookieを利用すると、何度もログインを促されたり、同じ情報の入力を繰り返したりといった、ユーザーの手間を減らすことも可能です。
なおCookieは、自身が利用しているパソコンやスマートフォンに保存され、いつでも削除できます。
デジタルマーケティングにおけるCookieの活用
先述したように、Cookieにはさまざまな情報が含まれています。これはデジタルマーケティングにとって、重要なデータです。
たとえば、ウェブ広告では、ユーザーにランダムに広告を表示するよりも、ユーザーにとって興味のある広告を表示するほうが、より効果的といえます。Cookieを利用すればユーザーの行動情報が得られ、興味のある広告の表示が実現できるのです。こうしたユーザーの行動履歴を基にウェブ広告を配信する仕組みに、DMP(Data Management Platform)などがあり、こうした仕組みもCookieのデータを利用しています。
ウェブサイトの効果測定を行うためにもCookieは重要です。Cookieを利用すれば、閲覧者数やウェブサイト内のページ遷移、どのページを何秒間見ていたかといったデータを容易に計測し、効果測定に活かせます。
ファーストパーティCookieとサードパーティCookieの違い
Cookieは、ファーストパーティCookie(1stパーティCookie)と、サードパーティCookie(3rdパーティCookie)に大別できます。
両者の違いは、Cookieの発行元にあります。ファーストパーティCookieは、閲覧しているウェブサイトのドメインから発行され、サードパーティCookieはそれ以外のドメインから発行されるものです。
たとえば、ユーザーがウェブサイト「www.incudata.co.jp」を閲覧していると仮定しましょう。このウェブサイトには広告が表示されていて、広告は「www.example.co.jp」から配信されています。
このとき、このウェブサイトのドメイン「www.incudata.co.jp」から発行されるCookieがファーストパーティCookieです。そしてウェブサイトとは異なる広告のドメイン、「www.example.co.jp」が発行するCookieをサードパーティCookieと呼びます。
Cookieレス時代とは
デジタルマーケティングにとって欠かせないといっても過言ではないCookie。しかし現在では、Cookieの利用を制限する動きがあり、将来的に使用できなくなる、「Cookieレス時代」がやってきます。ここでは利用できなくなる背景や、その影響について解説します。
Cookieが使えなくなる背景
Cookieは、デジタルマーケティングに活用したり、ユーザーの利便性を高めたりと、さまざまな利用方法があります。一方で、Cookieに含まれる個人を特定できる情報は、取り扱いによっては大きな問題となります。
日本でCookieが大きな問題となったのは、2019年の出来事です。ある就職情報サイトが、ウェブサイト内のユーザー行動をCookieに記録。このCookieはほかの情報と組み合わせることで、就職活動中のどのユーザーが内定を辞退したのか、わかるものでした。問題となったのはこのあと。就職情報サイトは、採用企業にこの情報を渡していたのです。
このようにCookieは、ユーザーの知らないところで、個人情報を脅かす存在になり得ます。日本ではこの出来事を機に、Cookieの使用に関する法規制の検討が開始されました。そして2022年4月施行の、改正個人情報保護法にてが施行され新たに、個人関連情報が定義され、Cookieも個人関連情報に含まれることとなりましたす。
一方、欧州では日本よりも早く、GDPR(General Data Protection Regulation)=「EU一般データ保護規則」が2018年に施行されました。GDPRは、個人情報を自分自身でコントロールできるようにする法律で、Cookieの利用に関してより厳格な規律が事業者に課せられています。
このような流れから、ウェブブラウザ「Chrome」を提供するGoogleは、2023年中にサードパーティCookieを廃止すると発表。ChromeをベースとするMicrosoftのウェブブラウザ「Edge」も、デフォルトでサードパーティCookieをブロックしています。
なおウェブブラウザ「Safari」を提供するAppleは、2020年3月からすでにサードパーティCookieの利用をブロックしています。
Cookieが使えないことによる影響
サードパーティCookieが使えなくなると、なにが問題となるのでしょうか。まず大きな影響を受けるのが、ウェブ広告です。ウェブ広告は、前述したように広告の表示をサードパーティCookieに頼っていたからです。
また、世界的に多くのウェブサイトが利用している、効果測定サービス「Google Analytics」も影響を受けるその1つです。これはユーザーの行動履歴を、Google Analyticsが発行するCookieによって収集しているからにほかなりません。
実はGoogle Analyticsが利用しているCookieは、ファーストパーティCookieです。しかし、GDPRはGoogle Analyticsが取得した情報を、Googleのために使う可能性があると考えており、個人情報保護の意味においては、サードパーティCookieと同じと考えています。このため、多くのEU向けWebサイトではGoogle AnalyticsによるCookie取得に関して、ユーザーに同意を求めなくてはなりません。今後、Google Analyticsにどのような影響があるのか、注目する必要があるでしょう。
一方で、自身のウェブサイトで利用するファーストパーティCookieは、それほど大きな影響はないといえます。したがってログイン状態を維持するといった、ユーザーの利便性を高めるために利用されるCookieは、今後も利用できるとみてよいでしょう。
日本ではいつからCookieが使えなくなる?
現在日本では、サードパーティCookieの利用を制限する法律はありません。一方、前述したように、一般的なユーザーが利用する主なウェブブラウザは、すでにサードパーティCookieの利用ができなくなっていたり、近い将来利用できなくなったりします。このため、すでにサードパーティCookieは、以前のように使えない状況といっても過言ではないでしょう。
Cookieレスに対応したソリューション
サードパーティCookieが使えない、すなわちCookieレスとなった場合、デジタルマーケティングはどのように行えばよいのでしょうか。最後に、Cookieレスにデジタルマーケティングで活用が期待されるソリューションをいくつかご紹介します。
ファーストパーティデータの活用
まずファーストパーティデータです。ファーストパーティデータは、自社のウェブサイトで収集した、ユーザーの情報などを指す言葉で、ファーストパーティCookieもこれに含まれます。
ファーストパーティデータを収集するには、ユーザー登録をしてもらいユーザーIDなどで個人を識別し、デジタルマーケティングに必要な属性や行動履歴を収集するのが一般的です。
一方、ユーザー側に立ってみると、わざわざウェブサイトを閲覧するために、ユーザー登録をするのは面倒なため離脱してしまうことがあります。そこで活用が進むと考えられるのがソーシャルログインです。
ソーシャルログインは、FacebookやTwitter、LINEなどのSNSアカウントを利用して、ログイン機能を提供する仕組みです。ソーシャルログインを利用すると、ユーザーはわざわざウェブサイトごとにユーザーIDをつくることなく、ウェブサイトを利用できます。
ソーシャルログインは、ウェブマーケティングの視点でも便利です。ソーシャルログインによってユーザー情報を個別に収集できるため、サードパーティCookieに頼らない、デジタルマーケティングが実現できるからです。
データクリーンルーム
データクリーンルーム(Data Clean Room)は、収集した情報から個人を特定するものを削除し、デジタルマーケティングに必要な分析を行える環境を提供するソリューションです。
たとえば、A社とB社のウェブサイトに訪れたユーザー情報は、それぞれの企業だけが使用できます。2社の情報を組み合わせて高度な分析をしたいからと、ユーザーに無断でA社からB社にデータを提供することは、大きな問題です。
一方、データクリーンルームを利用すれば、B社は個人を特定することなくA社のウェブサイトで収集した行動情報などを、自社のマーケティングに活かせるのです。
共通IDソリューション
Cookieに変わる効果的な広告配信手法として、注目されているのが共通IDソリューションです。まずウェブサイトにアクセスしたユーザーに、IDを割り振ります。同時に取得するIPアドレスを組み合わせ、異なるウェブサイト間においても個人を識別する仕組みです。
異なるウェブサイトで、共通のIDを使って横断的にユーザー個人を識別するという考え方は、ソーシャルログインに似ています。しかし、ソーシャルログインがソーシャルメディアのアカウントと情報を結びつける一方、共通IDソリューションはユーザー個人とIDが結びつかないのが特徴です。
コンテクスチュアルターゲティング
Cookieを用いた広告配信では、ユーザーの行動によって配信する広告を判断していました。コンテクスチュアルターゲティングでは、広告を配信するウェブページのコンテンツがどのような内容かを判断し、コンテンツに応じて広告を配信します。広告主は、ウェブページ内のコンテンツに応じて、広告を出稿できるのです。
従来のコンテクスチュアルターゲティングは、ウェブページに含まれるキーワードを基にしていました。現在では、仮にキーワードが含まれていなくても、コンテンツ全体をAIが判断し、ターゲットに即した広告を配信できることが特徴です。
ソーシャルログインサービス「Loghy」

上記にてもご紹介した多くのメリットがあるソーシャルログインは、さまざまな企業がサービスを提供しています。なかでもおすすめしたいのが、ソーシャルログインサービス「Loghy」です。
たとえばLoghyは、SNSアカウントに登録されているユーザー情報を、ウェブサイト独自の会員登録システムのフォームに反映できます。ユーザーは会員登録時にもっとも面倒と感じる入力の手間が省け、会員獲得率も向上するでしょう。
またSNSの仕様変更があっても安心です。SNSの仕様変更は頻繁に、かつ不規則に行われるため、独自にシステムを構築した場合、大きな負担となります。しかしLoghyであれば、仕様変更の対応もすべてLoghy任せ。ウェブサイトの管理者は、仕様変更を意識することなく、利用し続けられるのです。 まもなく到来するCookieレス時代。ファーストパーティデータの活用は、デジタルマーケティングにとって必須といえます。そしてファーストパーティデータの活用には、ソーシャルログインの導入が欠かせないといっても過言ではありません。まずはLoghyの導入から、Cookieレス時代の準備をはじめてはいかがでしょうか。
インキュデータ株式会社

- コラム編集チーム
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